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本日は12月31日。大晦日です。
ですので、今年触れた音楽や書籍、映画などをご紹介していきます。
作品名/作者名 と表記いたします。
【音楽編】
[邦楽]
ソルファ (2016) / ASIAN KUNG-FU GENERATION
Kiyoshi 3 / KIYOSHI
Kiyoshi 5 / KIYOSHI
CEREMONY / King Gnu
Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi / 久石譲
これがブッダブランド! / BUDDHA BRAND
命の灯 / ヒカリノハコ
惡 /MUCC
娼婦2020 / ムック
[洋楽]
Effloresce / Covet
Future Nostalgia / Dua Lipa
To Pimp A Butterfly / Kendrick Lamar
The Slow Rush / Tame Impala
Joker: Original Motion Picture Soundtrack / Hildur Guðnadóttir
I Cry When I Laugh / Jess Glynne
Are You Experienced / The Jimi Hendrix Experience
Blue World / John Coltrane
Giant Steps / John Coltrane
Saxophone Colossus / Sonny Rollins
ソルファ (2016) / ASIAN KUNG-FU GENERATION
2004年に発表された作品の再録作。この情報が発表された時に大きな話題になったのを覚えています。
リライトが収録されているアルバムということでも有名かと思います。
わたしは世代ドンピシャなのですが、アルバムと触れるのはこちらが初めてでした。
メンバー皆様の多彩な表現や老練なスキルが滋味に光るいいアルバムでした。
ドラムの伊地知さんがうまいのは承知していましたが、ベースの山田さんも相当にうまい。
『君の街まで』の冒頭にスライドで入ってくるベースの音がおいしすぎて思わずよだれが出たくらいです。あの音は絶品。
『Re:Re:』はあれなんですね、携帯電話のメールをリレーした時、件名につくあれですね。なんも思わず聴いてました。あれの意味合いって今の10代の子はわかんのかな?
よくある日本の楽曲はAメロ→Bメロ→サビ→間奏→ラストのサビと構成されてるのですが、この『Re:Re:』はAメロ→サビ→Aメロ→サビ→Aメロと構成されています。
歌詞を見ればよりわかりやすいのですが、繰り返すことで二人の関係や、やりとりを未来へつなげたいということなんだろうと思いました。「よくできた曲ー」って思いました。
或る街の群青とかブルートレイン、ブラックアウトとかいいよね。
Kiyoshi 3 / KIYOSHI
Kiyoshi 5 / KIYOSHI
音楽情報誌のPlayer誌に特集されていた「この女性プレイヤーがすごい」みたいな企画で知りました。
『Kiyoshi 5』のライブに行ったのですが、なかなかパワフルでかっこよかったです。久しぶりに全身で爆音を浴びて細胞が踊りました。
KIYOSHIさん(ベース)と満園英二さん(ドラム)のみの編成でしたが、十分成立していました。バンドはギターとベースとドラムがいないとなんていう固定観念はもう違うのかもね。かっこよかった!
Kiyoshi - Hero [Official Video]
CEREMONY / King Gnu
良いアルバム!大ヒットした『白日』を含む数々のタイアップ曲を収録しながらも一つのアルバムとしてまとめあげているのはギター・ボーカルの常田さんの手腕だと思います。
音楽をサブスクリプションで聴くのが主流となっている昨今、爆発的に売れてティーンの星みたいな存在になっている方々が、これだけクオリティの高い、しかし収録時間37分というとても聴きやすいアルバムを作りあげたことで、今の10代が『アルバム体験』をしてより音楽にのめり込む機会が増えたのではないかなと思います。
昔からの楽しみ方に固執する音楽好きなので、アルバムをバラして個別に聴くのはなんとも物足りなく思うのです。
惡 /MUCC
2020年の波乱の世界情勢でドロップされた今作。
アルバムの制作ってのはリリースのだいたい1年くらい前から始めることが多いのですが、その「コロナ禍」と言われている"今"を予見していたかのような内容でした。
1曲目の『惡 -JUSTICE-』なんて今年になってより顕在化した自粛警察、マスク警察のことを歌っています(作詞の時点ではネットにおける誹謗中傷のことを書いたらしく、リリース段階になって「こんなにも世相とぴったりの内容にびっくりだ」と話されていました)。
そういった時代とのリンクや、バンドのキャリアを重ねた上で、過去作を鑑みた時に過去一の出来なんじゃないかと個人的に思うアルバムでした。
アルバム全曲の印象は、前半(物心がついた頃)では強い怒り、深い怒りや自己の煩悶を抱えて荒んでいた一個人が、成長(自己嫌惡や虚無感、庇護してくれた人への感謝、神の否定)をするに従って、他者を労わり幸せを願って祈ることができるような神の視点を持つことができるまでの成長譚だと思いました。
こういう体験ができるからアルバムは1枚を通して聴きたいのです。
全16曲構成と曲数だけ見たら氣後れしてしまいますが、歌詞をしっかり読みながら聴くとわりとあっという間でした。
今年がマッチしすぎていたので、再来年とかには合わなくなっているかもなんて思ったりしますが、タイムレスな作品だと思います。名盤!
MUCC / 惡 -JUSTICE- MUSIC VIDEO
Effloresce / Covet
Yvette Young氏のタッピングが、自分を取り囲むダイヤモンドダストがキラキラと輝くようでとても美しい作品でした。幻想的で良いアルバムです。
Covet - "shibuya" (ft.San Holo) (official video)
To Pimp A Butterfly / Kendrick Lamar
映画『ムーンライト』経由で知った作品です。一曲一曲がお洒落なのでBGMとしても楽しめますし、楽曲をしっかり聴いても素晴らしいです。なにより、映画『ムーンライト』の内容と同様に「黒人」という文化とアイデンティティに対してのKendrick Lamar氏の確固とした誇りを感じます。
間違いなく大傑作です。
【書籍編】
[日本]
家庭教師は知っている / 青柳碧人
他人の顔 / 安部公房
動物たちのまーまー / 一条次郎
AX / 伊坂幸太郎
ホワイトラビット / 伊坂幸太郎
モダンタイムス / 伊坂幸太郎 (再読 4,5回目)
口笛の上手な白雪姫 / 小川洋子
おうち性教育はじめます / フクチマミ,村瀬幸浩
劇場 / 又吉直樹
妻に捧げた1778話 / 眉村卓
非属の才能 / 山田玲司
女王蜂 / 横溝正史
[海外]
ロンドン・ブールヴァード / ケン・ブルーエン
モモ / ミヒャエル・エンデ
他人の顔 / 安部公房
「光というやつは、自身透明であっても、照らし出す対象物を、ことごとく不透明に変えてしまうものらしいのだ」という文言を見た時、作者の安部公房氏は天才だと思いました。
主人公の妻からの手紙を読んでいると、「自身が所属するコミュニティを、わざと閉鎖的な空間にして、その上対外の人を敵視して、敵対関係をわざわざ作る。ネガティヴで結束を固める行為」に対しての作者の『性別間や人類への深い怒り』を感じました。
動物たちのまーまー / 一条次郎
わけがわからない。
『レプリカたちの夜』からそうですが、一条次郎さんの作品はわけがわかりません。ですが、そのわけのわからなさも作者の計算で、読者は作者に踊らされているのではないかと思わされます。しかしわけがわからない。
ラーメン屋さんの「天下一品」や「ラーメン二郎」に行く時に『天一(二郎)行こうぜ』と、合言葉の様に会話が交わされ、ラーメンを食べるという行為が"イベント化"していますが、この一条次郎さんの作品もそういった『一条次郎を読むというイベント』と似ていると思います。村上春樹氏の様にカルト的人気を博すかも?
あと普通にエンタメ性が高い。でもなかなか深いメッセージを感じる作品でした。
モダンタイムス / 伊坂幸太郎 (再読 4,5回目)
5月くらいに「再読したい」と突然思い再読したのですが、「なるほど、そういう意味合いで突然思ったのね」と納得しました。
『苺畑さようなら』は初読だとつまらないと思いますが、再読すると「なるほど」と思う作品ですよ。
ホワイトラビット / 伊坂幸太郎
2020年は伊坂幸太郎氏の作家デビュー20周年なのですが、この『ホワイトラビット』は筆者自身のいろんな過去作をセルフオマージュしているように感じ、個人的に集大成みたいな作品だなと思いました。
作品内で二度ほど挟まれるトリックはとても小説的で、かつ小説でないと成立しえないトリックだったので初めて読んだときは「どっひゃ〜〜!!」となりました。
『映像化不可能といわれた作品!』みたいな謳い文句を見ても「映像化不可能作品多すぎでしょ」と思っていたのですが、"映像化不可能作品とはどういうものか"を初めて垣間見た体験でした。実際映像化は無理なんじゃないかな?
おうち性教育はじめます / フクチマミ,村瀬幸浩
以前記事にしましたが、この書籍は本当に読んで良かったと思います。
非属の才能 / 山田玲司
鬼滅評でも引用させていただいた『山田玲司のヤングサンデー』経由で知った作品。
正直色々な偏見やバイアスは感じますが、その中でもハッとする筆者の意見や考えが伺えました。この本を読んでいる時、去年に読んだ岡本太郎氏の『自分の中に毒を持て』を思い出しました。徹底的に相手と同じ目線に立って、叱咤激励をしてくれる。これは相手(読者)を信頼していないとできないことだと思います。
「世の中に違和感を感じているなら、そのままでいい。でも"非属"でいるのなら、それなりに覚悟をしないといけないよ。誰のせいにもしてはいけないよ」と語りかけてくれているような暖かさを感じました。
レーニンとともにロシア革命を成したスターリンがいかにして独裁者に変貌したのかを寓話化した作品。読んでいて、そのあまりの『ヤバさ』に顔がひきつりっぱなしでした。
物語最後の「おしまい」がこれほど恐いものだと感じたのは初めてでした。
映画『ザ・ハント』でも引用されていましたね。
モモ / ミヒャエル・エンデ
1800年代に書かれた作品と思っていたからまさかの1973年発行でびっくり。
資本主義が善とされて久しい昨今、いかに時間を削るかの競争に奔走している現代人を余地したような作品でした。大人よカテゴライズされている人ほど読んでほしい児童文学です。
【映画】
[邦画]
朝が来る(2回)
鬼滅の刃 無限列車編(2回)
罪の声
[洋画]
パラサイト 半地下の家族
ザ・ハント
ムーンライト
ミッドサマー
リチャード・ジュエル
朝が来る(2回)
これまででは端役であったり、語られることのなかった人たちの物語。
よくある娯楽感動映画では、主人公を輝かせるために使い捨てされてきたような人に焦点を当てた作品でした。
これまでの無意識に傷つけられてきた人たちを無闇に傷つけないように、茶化したり嗤ったりしないように注意を払って丁寧に描いていたのが印象的です。
登場人物がとても細やかに表現されていたのですが、それも原作者の辻村深月さんと監督の河瀬直美さんがお二方とも女性(これまでの日本社会において男尊女卑で虐げられてきた側)だということが大きいと思います。
個人的な考えですが、男性はどこか夢見がちというか、どっかでフィクションにしたがるきらいがあるように思います。
それをすることなく、血が流れる深い傷すらも無駄口を叩かず下手な脚色を行わず、じっと見つめて描く。
その真摯さが登場人物(とそれのモデルになった多数の方)に寄り添い、セラピー的な役割も務めているのもすごいと感じた点です。
『一九八四年』のお話をしている記事でも書きましたが、「フィクションには、フィクションが成立するまでに題材になった人がいる。だから、"フィクションだから"って太平楽に構えていては題材になった人を冒涜していることにもなりかねない」ということを思い知るきっかけになった作品でもあります。
とても印象深い映画でした。全國民に観てほしい義務になって納税とすり替わってほしい。
できるならば世の人には悲しみを感じないでほしいと本当に願います。
鬼滅の刃 無限列車編(2回)
興行収入歴代1位おめでとうございます!!!!!
1回目
2回目
映画 えんとつ町のプペル
売れて!昭和的な価値観がまだ残る今の時代を、こころの時代に変えて!
パラサイト 半地下の家族
やっぱり価値観のお話だと思うのですが、わたしと同じ感想を持った人はいまだに見かけません。
ザ・ハント
トランプ大統領は道化説を推します。ただ自己顕示欲は実際に強いと思う。
映画編は劇場で鑑賞した物のみを列挙したので、ストリーミングサービスで観たものは含まれていません。
ストリーミングサービスで観たものでよかったものを簡単に連ねておきます。
映画 クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語
スパイダーマン:スパイダーバース
まどマギは上記のヤングサンデー経由でアニメシリーズから[新編]まで観ました。いやあよかった。
スパイダーバースもヤンサン経由なのですが、山田玲司さんの解説を聞かなかったら一生観なかっただろうな。損しなくてよかった\(´-`)/
アメコミ的表現や印刷技術の劣悪さによるアメコミあるある、それを逆手にとって上手に演出したスタッフさんの妙など、アニメーションでしか成立しえない演出をしていたのもよかったです
以上でした。
ということで、各ジャンルの今年ベストは、
【音楽】惡 / MUCC
【書籍】動物たちのまーまー / 一条次郎
【書籍】おうち性教育はじめます/ フクチマミ, 村瀬幸浩
【映画】朝が来る
でした。
こうリスト化すると、自分の中ではなんとなくテーマは通底しているなと思いました。
よいお年を\(´-`)/