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今回は「鬼滅の刃 遊郭編」の第六話『重なる記憶』の感想・考察です。
👇 第五話の感想👇
引き込み
放送開始五秒間の沈黙から今回は始まります。
うまいなと思いました。
五秒間の沈黙のあと、堕姫ちゃんの発言があり、効果音だけのシーンが続いたあと46秒くらいからBGMが挿入されます。
放送(視聴)を楽しみにしている消費者の集中力をより高めて、釘付けにする手法で、一瞬「放送事故かな?機械の設定ミスか?」と思わせるタイミングで、堕姫ちゃんの発言が流れます。
この緊張感が、視聴者を作品に没頭・全集中させるギミックなのでしょうね。
巧い。
炭治郎の目が赤くなったり、血の涙を流すという場面がありますが、なんとも示唆的です。
老い
花街に散らしていた帯を身体に取り込み、堕姫ちゃんが本来の力を取り戻します。
その時の容姿が白髪だったのが意外でした。
だって『若いこそ至高』みたいな発言をしていたのは堕姫ちゃん自身ですからね。
歳を取ると毛の色素が薄くなって白髪になるのは動物の自然です。
その『歳を取る』ということを、異常なまでに恐れている堕姫ちゃんが白髪の容姿になったというのは、「歳をとらないと思っているのはその人だけで、実際には悪実に老いて行っている」ということなのかな?と思いました。
単純に力の開放的な意味合いなのでしょうが、個人的には『若作り』という意味合いなのかなと感じました。
あと『白髪に先端が緑色』ってお大根だね。
やっぱりアンチジャンプだと思うんだよな
「この世には人の心を持たない者がこの世にはいます。理不尽に命を奪い、反省もせず、悔やむこともしない」という炭治郎の怒りの言葉があります。
これってやっぱり、ブラック企業で命を落とした人や、自死した電通の女性社員さんのこと、それがあっても改善しないことを指していると思うんですよね。
その『努力信仰』を増長させたのは少年ジャンプの罪だし。
堕姫ちゃんの中で無惨の記憶が引き起こされますが、これは炭治郎のお父ちゃんか先祖なのだろうと思います。
そんなことより。
鬼は無惨に血を分けられて鬼になりますが、この『血の記憶・細胞の記憶』というのは実際にあるみたいですね。モナークとか。
渇き
鬼は死んでいます(不老不死は死んでいるのと同じ)。
この世の生物は死を食って生を永らえているわけですが、鬼はもう死んでいるからこそ、生を享受する人間を喰らうのでしょう。
実際に若い個体の血を摂取すると若返るという研究もあるそうです。
つまりは、鬼は常に渇いている。
渇いているから、その渇きを潤すために他者を使って無理矢理にでも満たそうとしている。
心の渇きを満たすために人は何をするかというと、物を所有することで満たそうとします。
「鬼は老いない。病氣にもならない。死なない。なにも失わない」と堕姫ちゃんが言いますが、これは所有に囚われているということなのでしょう。
人(生物)は失います。
それを恐れて、"全てを所有したいから死なない鬼になった"ということなのかなと推察するのですが、思えば多くの鬼が過去に喪失した経験があると描かれています。
その記憶がとても悲しくてショックだったから、もう失いたくないが為に失うことのない鬼になった、という風に考えるのが妥当かなと思います。
長く生きる方が、周りのものが去っていく経験が多くなるので逆に辛いんですけどね。
『無限列車編』で煉獄さんを討った、上弦の三である猗窩座は「もっと強く」と鍛錬をしていますが、それも「『強くないと護れるものも護れない』という渇き」があるからこその『より至強を』という思いなのでしょうと感じます。
人は体のほとんどがに水分でできていますが、それを鑑みると、鬼は常に渇いているから潤いのある人間を喰らうのだろうか?と思いました。
鬼の構成物質がなになのかとかは知りません。
ルッキズム
炭治郎の首を斬ろうとした堕姫ちゃんを禰豆子が蹴り飛ばします。
『綺麗であること』や『若いことこそ至高』といったようなルッキズムに囚われている堕姫ちゃんが、禰豆子にしてやられたのは本当に耐えられないほどに頭にきたでしょう。
堕姫ちゃんから見て、禰豆子の方が若いからです。
それに禰豆子は『無惨の支配から逃れた』という「鬼舞辻無惨の特別視」を受けている存在です。
珠世さんも無惨の支配から抜けた鬼ですが、『自分よりも若い小娘が無惨様から特別視されている』という状況は、無惨を独り占めしたい堕姫ちゃんからすると嫉妬対象以外のなにものでもないのだろうと予想するところです。
堕姫ちゃんは猫ちゃんということですね。
無惨から禰豆子討ちの命を受けている回想シーンから見ても、猫っぽいなぁと思う次第です。
インナーチャイルド
ふと思ったのですが、『鬼滅の刃』という作品は家族(特に親)との関係が原因になっているキャラクターが多くないでしょうか?
炭治郎は言わずもがなですが、しのぶさんはお姉さんのこと、カナヲはネグレクトと自身が売りに出される記憶、煉獄さんも実の父からネグレクト的な扱いを受けています。
隊士だけでなく鬼の側も同じく家族が関係しています。
これって『インナーチャイルド』のこととかトラウマとかのメタファー(直喩すぎてメタファーになってない?)なのでしょうか?
そのインナーチャイルドが傷ついたままで大人になって、その傷を無視するのか治療するのか、みたいな。作品の登場人物がほとんどがPTSDだと思われますからね。
身勝手な当て推量なので真相はしりません。作者の吾峠さんもそんなこと考えて作品を作っていない場合もありますしね( ¨̮ )
煉獄さんのお父さんがどうしてあんなに荒れていたのか、をちゃんと描いていたので、ほっとなでおろした氣持ちです。
〈遊郭編〉の第一話でSNSがまぁ荒れたみたいですが、理由なく人が荒れるなんてありえないので、その理由が大衆に知られただけでも良かったですね( ¨̮ )
ありがとうございました( ¨̮ )
👇👇第七話👇👇