本日もご訪問ありがとうございます。
なんだかんだで結局、公開日の翌日に観てきましたよ。
『エスター ファースト・キル』!!!
鑑賞した感想はもう一言です。
最高!
ブラボー!
オーサム!
観てよかった!
スパシーバ!
トレビャン!
ハラショー!!
アメリカ!
前作超えかも!
アメリカ!
U.S.A.!!!
一作目は良かったけど、二作目はあんまりなことが多い映画界隈(個人の感想)。
一作目は紛うことなく名作なのに、前作が傑作過ぎて期待値が高上がりすぎたのか二作目は尻窄みになることが多い洋画界(あくまで個人の感想)。
そんな洋画界ですが!
期待値を大きく上回って、いえ、前作よりも傑作なんじゃないのかと思うほどの出来栄えでした、『エスター ファースト・キル』!!!
ちょっとこれは年間ベスト級かも知れませんですよ…。。
映画『エスター』とは
まず前作の『エスター』は、2009年公開のアメリカ映画であり、養子として迎え入れられた少女が、サイコな行いを行うサイコスリラー作品でした(一般的にはサイコホラー区分らしいのですが、個人的にはサイコスリラーな印象)。
しばしば申しておりますが、わたしはこの『エスター』一作目は嫌いです。
嫌いですが、名作なことには変わりないです。
とは言っても嫌いが故に実際に観たのは十数年前に一度だけなので記憶違いをしている部分は多いと思います。
一作目はびっくり系の演出が多様されていたりするサイコスリラー作品だったのですが、本作はサイコホラーな趣きが強かったよう感じます。
第一作目はシリーズ化を視野に入れない単発作品として制作発表されたのだと思うので、分かりやすくて派手であり「エスター」の異常性を知らせる、それこそ『エンタメサイコスリラー娯樂作品』という位置付けであったと感じるのですが、第一作目があまりに名作で売れたから、続編を作ったってことなんですかね、わかりませんけど。
そんな『エスター ファースト・キル』は、その名に違わず一作目の前日譚として位置付けられています。
『彼女がどうして養子として迎え入れられるようになったのか』ですね。
以下、全力でネタバレをします🔪
精神病院編
多くの映画作品は、制作会社の映像ロゴの後、一旦ドラマパートを挟んでから作品タイトルが表示されますが、本作品は映像ロゴの後すぐに『Orphan : First Kill』と表示されます。
原題は『Orphan』なのですね。《孤児》という意味だそうです。
本編の始まりは吹雪の中。
『エストニア 2007年』と字幕が表示され開始されます。
吹雪の中を車が一台走り、とある施設へと到着します。
そこは精神的に課題のある方々が収容されている施設で、車の運転手はアナという絵画セラピー?の委員でした。
施設の玄関でアナはボディチェックを受けます。玄関には収容されている女性(この役名を覺えていないので、仮にAさんとします)が掃除を行なっておりました。
ボディチェックも無事終わったアナでしたが、施設に入ってすぐ、緊急事態が起きます。
リーナという超危険な人物の姿が見えない、とのことでした。
職員に「ここで待ってて」と隔離されたアナ、しかし、そこにリーナはいました。
ぎょっとしつつも、勤めて刺激しないように頑張るアナ。
しばらくすると職員がやってきて、リーナは保護されます。
「子どもだと思わなかったわ」と職員に話すアナでしたが、「成長ホルモンの分泌不全で10歳の頃から容姿は変わっていないそうだが、実際は30歳の女性で、超一級の詐欺師だから、絶対に侮ってはいけない」と職員が忠告をします。
ここは前作にて明かされていたことですね、確か。
流石に前作を観ずに今作から観る方はいらっしゃらないと思いますが、もしこの前日譚で初めて『エスター』に触れた方や、わたしのように復習なしで観る方に対して『こんな人ですよ〜』という説明をしてくれています。氣が利く!
何氣なく表現される異常性
場面変わって、絵を書くリーナ。
他の患者さん(Aさん)を利用する方法を心得ているのか、飴玉を使った場面があります。
ここで、リーナの『詐欺師としての人心掌握術』?を表現しているのかぁ、などと思いました。
また場面変わって、とある職員から荷物を受け取るリーナ。
「よくやったわね」的なことを職員に対して言います。
ここで完全に職員をリーナが飼い慣らしていることがわかりますね。この職員あほちゃう?とは思いました。
リーナは「部屋に入って」と職員を誘導し、壁際へ立たせて誘惑します。
誘惑する前に、職員との身長差をなくすためにリーナが椅子を移動させるのですが、ここの挙動が怖い。
というかこのシーン一発でリーナが常軌を逸していることを表現しています。
どういうことかというと→椅子を移動する時は、皆さんどうするでしょうか。椅子自体を持ち上げて移動させるはずです。
ですが、このリーナは持ち上げずに背もたれを摑んで引きずり、移動させたんですね。
椅子を移動させるときに、持ち上げず引きずってガリガリと音を立てている人を見た場合、恐ろしくなりはしませんでしょうか。
正直、椅子の移動方法だけで異常性を表現したのは凄いと思います。しかも、何氣なくて目立たないような表現で、です。
んで、リーナは顔を撫でたり誘惑し、恍惚な表情を浮かべている職員の頭を壁に打ち付けて、殺します。
前作を鑑賞された皆々様であれば、「まぁ、そりゃあそれくらいするだろうな」と思われたことでしょう。わたしは思いました。
どうやら日本で大罪を行い死刑判決を受けた方にも、看守を手中に収める方もいらっしゃるそうです。
なので、現実にあることなんだろうなぁ、思います。
そうして職員のIDカードを手に入れたリーナは、 施設の脱出を図るのですが、ここの演出がちょっと荒かったかなぁ、などと素人人間の一観客は思います。
職員のIDカードで開けたドアを、車椅子を押した職員が悠然と通りますが、勝手に開いたことを怪しまないの?と思ったし(いま思えば、『入る時』にはID認証が不要だったのかもしれません)、リーナがエレベーターに乗り込む時には先客の存在の注意しないのかとも、エレベーターが開いたときに職員がいたらどうするつもりだったんだ、とも思いました。
リーナほど狡猾で用意周到な性格をしていたら、それくらい考えついただろうに。
さて、順調に施設の玄関にたどり着いたリーナ。
もちろん職員がいて「どうしてここにいるのだ」とリーナに問いますが、リーナは掃除をしているAさんに命令します。
「この職員を排除しろ」と。
凄いですね。伏線じゃないですか。思ってもみませんでした。
無事施設の外に出たリーナ。
ちゃんちゃん。
「リーナ」から〈エスター〉へ
場面は変わり、アナが映ります。
帰宅しようと車に乗り込み、フロントガラスに積もったを雪をワイパーで除くと、そこにはリーナがいました。
「誰にもいうな」という仕草をしています。
ですが、アナは職員へ報告に行き、アナ当人は帰路へつきました。
自宅前に車を停め、自宅のドアを開けるアナ。
すると、車のトランクも開きました。恐怖を感じながらも確認に行くアナ。しかしトランクの中には何もありません。
訝しがりながらも自宅へ入ったその時、アナはリーナに鈍器で殴られます。
この一場面なのですが、ちょっとアナ不用心すぎません???
トランクを確認する前に、もう一回施錠するでしょうに。
しかし、そんなことを思うのはホラー作品にばっかり触れているからで、ホラー映画なんて観ない人は、ちょっと確認する程度ならばいちいち鍵をかけないのかも知れない。。。
アナを殴打したリーナは、アナの自宅にあるピアノを血だらけの手で悠然と弾きます。
思い返して初めて思い至ったのですが、一人暮らしの部屋にグランドピアノあるってどんな富豪なのさ。グランドピアノだったよね?
一曲弾き終えたリーナは、アナの血を落とすために洗面台に水を流し、透明な水が赤く染まる…、、と、その赤い液体はワインに変わっていた。
この演出好きだなぁ〜と思いました。
その勝利の美酒を味わっているタイミングで、リーナは世界の行方不明となっている子どもたちを調べます。
その行方不明者の中から、リーナは自分と似た少女を見つけました。
少女の名前は、エスター。
エスターになりきることを決めたリーナは、夜の公園でエスターとして保護され、"エスター"の故郷であるアメリカへ、《帰郷》します。
ここまで、「リーナ」という女性が「エスター」になるまででした。
前作を観た身としては、「はぁ〜〜〜そうやってなったのねぇ〜〜〜〜〜」という感慨でした。
アメリカ編へ👉
アメリカ編
エスターが見つかったよ!再会だヨ!全員集合!
場面一転、コネティカット州。
フェンシングの試合が繰り広げられている様子が映し出されます。
試合に勝利したと思わしき美青年と、それを喜ぶご家族と思しき夫婦が映ります。
息子の勝利に喜ぶ夫婦でしたが、男性の方が気にかかることがあるのか、弱音を吐いたりします。
それに対し、妻である女性が元氣づけます。「前を向かないと」なんて。
そんな話をしていると、階段の上から夫婦を眺める男性が一人。
のちに判明しますが、その男性は夫婦の行方不明となった娘、エスターの事件を担当している刑事でした。
その刑事から「エスター、見つかったよ!」と知らされます。
刑事を見つめるエスターの母親は、どこか怪訝そうな表情をしています。
エスターとなったリーナは、エスターの実母であるトリシアとロシアでまず対面。
その後、プライヴェートジェット的な飛行機に乗って本國アメリカへ帰ります。
この飛行機シーンで、「エスターのいた家庭ってほんまもんの富豪なの?」と思ったのですが、ほんまもんの富豪です。そして、それが物語のフックとなります。
アメリカに到着したリーナは、母トリシア、父アレン、兄ガナーと感動の再開を果たします。
感動する父・アレン。
エスターを認めて「よう」と声をかける兄・ガナー、それを「四年ぶりに会った妹に対してする挨拶が『よう』だけ?笑」と咎める母・トリシア。
この一家に『エスターとして』リーナは、上手く、そして巧く入り込むんだろうなぁ。などと思っておりました。
ボロを出すリーナ
無事感動の再開を果たしたエスターは、家族の自宅へと"帰宅"します。
なぜかはわからないのですが、この家を初めて見た時(特に玄関入ってすぐの突き当たりに階段がある間取りを見た時)に、映画『ヘレディタリー/継承』を想起いたしました。
エスターの部屋に入るときにミニチュア越しになっていたのとかも含めて、なぜだかどこか上記の映画が思い浮かびました。
全くどうでも良い余談ですが、アリ・アスター氏の作品だと『ミッド・サマー』よりも『ヘレディタリー/継承』の方が、どちらかというと好きです。
最近のホラー映画で一番好きなのは『イット・フォローズ』です✌️
閑話休題。
その後、カウンセラーの元を訪ねますが、リーナはちょっとした、しかし中々に致命的なミスをします。
そこでカウンセラーとトリシアから疑惑の目を向けられますね。
カウンセラーとトリシアの会話をリーナが盗み聞きますが、盗み聞くための小芝居と、盗み聞きを少年に目撃されていた際の切り抜け方は、さすが『一級の詐欺師』といった感慨です。
ちなみになんですが、第一作目で『雪と鳩と森』のシーンがありますが、あのシーンってカウンセリングでのオウムちゃんから端を発しているのかしら。
夜。
家族水入らずで食事をしていると、客人がありました。
そのお客はエスター失踪事件を追っていた刑事でした。
自身の身を案じたリーナは「飲み物を取ってくる」と言い、コップを持ってその場を去る振りをし、物陰でまた盗み聞きを始めます。
頃合いを図って戻ったリーナ。コップをテーブルに置きますが、その中は空。
刑事から「中が空だぞ?飲み物を取りに行ったんじゃないのか?」と咎められます。
これは刑事の指摘よりも前に氣付きました✌️やっぴ✌️ でもこんくらい誰でも氣付くわね。
いやぁ〜、まさかそうだとは思わんやん???
わたしリーナ!
ひょんなことからオルブライト家で娘のエスターとして暮らすことになったんだ🌟
でもいっけなぁい😣
事件を追ってた刑事さんにわたしがエスターじゃないってばれちゃった!💦
ということで、すでに自宅を突き止めていたので、刑事を仕留めるためにリーナは刑事の自宅へ。
『帰ってきたエスターがエスターではない』ことが刑事にバレたとき、リーナが果物ナイフで刑事を滅多刺しにします。
虫の息の刑事を前に、「今度はあの母親をどうするかね。まだバレてないといいけど」と呟くリーナに対し、刑事が一言。
「もうバレてるさ」
その後、銃声。
リーナが振り向くと、トリシアが刑事に向かって発砲していました。
唖然のリーナ、唖然のわし。
刑事宅のリビングにて、「エスターが実は別人であり、エストニアの精神病院から逃げ出してきたこと」の確認と、ことの次第がトリシアより語られます。
本当のエスターは、トリシアが息子のガナーと共に殺めたこと。
そのことを夫のアレンは知らないことなど。
それを明かし、トリシアはリーナに「いらんことすな。」と脅します。エスターとして演技をしてもらう、ということですね。
ここのトリック?は、本当に予想なんてしていなかったので「MAJIかよ」の連発でした。
そして、あまりの面白さににやにやしっぱなしでした。ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ。
ここを誰かに見られていたとしたら、かなり怪しい人間として映っていただろうなぁ。
よかった、暗くて。
観終わった今、思い返して感じたのですが、この『え、まじで』の感覺ってどこか伊坂幸太郎さん的な空氣を感じますね。
America
その後、刑事の亡骸を証拠隠滅したトリシアは、リーナのことをエスター殺害の共犯者であるガナーへ話します。
このあとにリーナとガナーが対峙し、話す場面があります(「ここは妹の部屋だ。お前みたいな化け物が我が物顔で使うんじゃねえよ」のところ)。
この時に、ガナーは「このオルブライト家はアメリカ建國時から名家なんだよ。『家族が娘を殺した』なんて絶対に言えない。ここはアメリカだからだ」みたいなことを言います(だいたいニュアンスですが、92.3%くらいは合っていると思います)。
この『ここはアメリカだ』の部分は、まんま「This is America」と言っていたのですが、このセリフで思い出した曲があります。
この曲です。
Childish Gambino氏の『This Is America』です。
この曲は第61回グラミー賞でも、複数の賞を受賞していることや、PVがなかなかに衝撃的なので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この『This Is America』という曲は、「外面は綺麗に繕ってるアメリカだけど、その内実はなかなか最悪だぜ」ということを歌っているそうです。
わたしは英語ができないので、あくまでも"らしい"とします。
この『エスター ファースト:キル』という作品は、そんなアメリカを表したりしているんじゃないでしょうか。
と、それだけ言うと流石に大風呂敷を広げすぎていて余りに現実味がないとは思います。流石に。
ですが、この『エスター失踪事件の真相』は、アメリカで起きた『とある超超超有名未解決事件』の「これが真相なんじゃないの?」といわれていることをなぞっています。
こんなことに思い至ったので、その事件を軽く調べてみたらば、なんと家族構成も同じでしたとさ。
お父さんは蚊帳の外…( ._.)
そのあとはトリシア&ガナーvsリーナの攻防や、父・アレンを巡ったトリシアとリーナの攻防などが繰り返されます。
いやぁ、女性の嫉妬ですね。。
そういえば第一作目もリーナが養子先の旦那を誘惑したからボロが出たんじゃあなかったっけか。
本作ではその攻防の一つとして『スムージーとディスポーザー(台所で出る生ごみを細かく砕く機械)』のシーンがありますが、あれはえぐいですね。普通に思い出したくないです。
また『ヘレディタリー/継承』の話になりますが、あの作品も家族構成が両親と兄妹で一緒だな。まぁ最初におばあちゃんは居るけども。
しかも『作中の問題は母と兄と妹だけで共有されていて、お父さんは知らない』ことも同じだ。
しかもしかも『ヘレディタリー』も本作も、「兄がパーティーをしていて妹がごねて、物語が進んでいく」わ。
偶然か?
Orphan
アレンの出張を機に、トリシアはリーナとの関係に決着をつけようと決心します。
エスター殺害の共犯者であるガナーと共にリーナを討とうとしますが、まんまとガナーはリーナと一対一の状況に持ち込まれます。
ずっと思っていたのですが、リーナ相手に一対一で遣り合おうとしても、結果は一方的にリーナに可愛がられるだけだよ〜。
実際そうだったし。
リーナと対等にやり合えるのって、『ザ・ハント』のクリスタルくらいじゃないでしょうか。
まんまとガナーが返り討ちに遭い、トリシア対リーナの構図になって、台所で乱闘する場面があります。
あれは本当に『ザ・ハント』にてクリスタルとスノーボールが闘う場面を想起しました。まんま台所だし。
キャットファイトが原因で家が火事に見舞われ、リーナのみが生き残り、悠々と屋外に出ていく、というラスト付近の場面がありますが、流石にリーナさん悠長すぎない?
好きだったアレンが死んだから自棄氣味でもあったのかしらね。
悠長に歩くシーンで、'60~'70年代くらいの樂曲が流れますが、ここは『JOKER』を想起。
そして火事の中歩くシーンは『ドクター・スリープ』のラストシーンを想起しました。
まぁいらない感想ですわね。
そして、オルブライト家の実際の人間は全員いなくなったことで、リーナ/エスターは孤児となりました。
めでたし⭐️
皮肉なものね
最後に、MAJIで今更なのですが、アレンは画家を生業としており、絵のギミックとしてブラックライトを用いた作品を描いていますが、あれは『エスターとしてのリーナ』と『実際のリーナ』の二面性を表現しているんでしょうかね。
しかし、そのブラックライトで自身の身が危うくなる(レコードについた指紋)というのは、なんとも皮肉というか、面白いところですね( ¨̮ )
ま、何はともあれ最高に面白かったです。
確実に2023年ベスト級ですね( ¨̮ )
ここまでお読みいただいた方がいらっしゃいましたなら。
ありがとうございました( ¨̮ )