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2023年2月4日に、tricotさんのライヴに行って参りました。
初クアトロです。
有名なライヴハウスなので存在は存じておりましたが、なかなかご縁がなくて行ったことがありませんでした。
今回初めて行ったのですが、直球でロック系のハコなんですね。
これまでわたしは主にヴィジュアル系の界隈に出入りしていたので、縁遠かったのも納得でした。
ライヴハウスによって出演するバンドの系統も変わりますからね。
そのハコの店長がどのジャンルのバンド出身なのかが関係あるのでしょうか?
はじめに
結束バンドのアルバムレビュー記事でも本当に少しだけ触れましたが、『tricot』というバンドと、そのヴォーカルである中嶋イッキュウさんの存在は以前から存じておりました。
おそらくですが、中嶋イッキュウさんの存在を初めて認識したのは、『BAZOOKA』という番組のバンドを作ろうぜ!というような趣旨の企画で、川谷絵音さんが「バンドのヴォーカルはもう決まっています。中嶋イッキュウさんです」と紹介された時だと思います。
その時に「へぇ〜、tricotってバンドさんがいらっしゃるんだ」と認識した記憶があります。
ちなみに、その企画で生まれたバンドが『ジェニーハイ』です。
その時にはおそらく曲を聴かなかったのですが、何かのご縁でこちらのスタジオライヴ映像を拝見し、いいね!となりました。
しかし、tricotさんの盤を初めて買ったのは『不出来』からです。しかもこの間。
良いアルバムですね( ¨̮ )
「いいアルバムだ!直近でライヴがあるし、チケットもまだある!これは予兆だ!行かないと後悔する!!」と思い、この日お初拝見することと相成りました。
開演
開演の5分前にライヴハウスに到着し、入場。
最近ではわたしは八十八ヶ所巡礼さんのライヴによく行っております。
そのライヴ会場に行くと、度々、観に来ている方々の幅が広い!と思うのですが、tricotさんの客層も広かったように思ったので、ロック系のイベントは必然的に客層が広くなるのかしら?と思いました。
とはいえ、tricotさんの方は2,30代の方々の方が氣持ち多かったかな?とも感じます。
開演前のサウンドチェックで中嶋イッキュウさんのギターが鳴らされたのですが、とってもシングルコイルな音がして「あぁ〜、やっぱりシングルコイルの音って好きだな」と思いました。
そんなことを思っていたら、おそらくオンタイムで開演(押していたとしても1分くらいなものだと思います)。
通常?は開演前BGMの音量がどんどん上がっていって、登場SEが流れたりするものなのですが、BGMフェードアウト&客電もゆっくり消灯。からの、『模造紙ヒデキちゃん』の語りで開演。
模造紙ヒデキちゃん
『模造紙ヒデキちゃん』の語り素材が流れる中、(おそらく)中嶋イッキュウさん→吉田雄介さん→ヒロミ・ヒロヒロさん→キダ・モティフォさんの順番で登場。
ステージに登場した順番で、各々が銘々のフレーズをプレイ。
ここのインプロ具合?に高校の軽音部というか、スタジオ練習前にそれぞれがそれぞれのウォーミングアップをする空氣というか、そんな感じなものを覺えました。
ある程度のところでバンドマスターが「さぁやりますか〜」と声をかけてスタートするんですよね。
そんな感じがあったように思います。
ここからは覺えていることを書きますので、順番はばらばらだと思います。
正直めちゃ樂しくてあんまり憶えてないんですよね。
ライヴイベントって大抵2時間くらいで組まれておりますが、体感時間1時間くらいだったし。
アンドロイド
初めてtricotというバンドの演奏を生で観たわけですが、演奏技術が高くて樂器が巧いのは知っていたとはいえ、びっくりしたのはベースを務めるヒロミ・ヒロヒロさんの音です。
よく竿樂器は褒め言葉として『音が太い』とかって言いますが、ヒロミ・ヒロヒロさんの音には厚みというか、《深度》を感じました。
『深い』と形容すると求めていない印象がついて来そうなので、《深度》と形容します。
実際に観るまではあんまり印象になかったのですが、ヒロミ・ヒロヒロさんってすごく華奢で小柄な方なんですね。
あんなに華奢な人が、あれほどまでに厚みと深度のあるベースを弾けるのは衝撃というか、その感情と似たものを感じました。
よく『樂器は体全体で鳴らしましょう。体自体すらも鳴らしましょう』なんて言ったりするのですが、ヒロミ・ヒロヒロさんの演奏は『足で触れている地面すらも含めて鳴らしている』みたいな音をしていたと思います。
あとは『足を踏み込んだ時の反動を腕に伝え、ピッキングに反映させている』みたいな感覺も感じました。
またtricotというバンドは、一般的な『ステージの上下にギターやベースがいて、真ん中にヴィーカル、その少し脇にドラム』という立ち位置ではなく『ステージの上下にギターがいて、センター(より少し右寄りに)にベース、センターと上手ギターの間にドラム』という変則的なステージングをしています(樂器構成は違うけど、ちょっと東京事変さんっぽい?)。
ヴォーカルがフロントマンと形容されるのは、ステージの中央という〈一番目立つ位置〉を定位置としているためですね。
そんな『一番目立つ所』にベースが立っているわけですが、先述したベースの音を聴けば、"センターを張る"理由?にも納得します。
まぁバスドラムとのユニゾンで音の相乗効果が生まれているためである、という可能性もあるんですけどね。
『#アチョイ』か何かの時にハンドマイクに持ち替えた中嶋イッキュウさんが、ヒロミ・ヒロヒロさんの横に並ぶ場面があったのですが、その身長差により、よりヒロミ・ヒロヒロさんの小柄さが際立ち、よりその出音とのギャップに驚きました。というおはなし。
ちなみにわたしの場所からは、ほとんどキダ・モティフォさんとヒロミ・ヒロヒロさんしか見えなかったので、そのお二人の挙動への感想しかありません。
『アンドロイド』の音源、曲終わりでは〈一回演奏が終わって、ドラムのエイトビートがフェードイン〉し、それが盛り上がっていきます。
ライヴのアレンジだといきなりトップヴォルテージでバシャーン!となるのかな〜なんて思っていましたが、エイトビートなしで『冗談検定』が始まったのが意外というか、わたしの考えになかったので驚きました。
他にも、tricotさんの初心者なりに公式で挙げられている音源とかを聴いていて、『右脳左脳』が聴けて嬉しかったです。
おちゃんせんすぅす
この曲は、恐らくtricotというバンドを知ったタイミングと一緒に聴いたものだと思いますが、前述の通りtricotさんのライヴは初めてですので、曲に振り付け?があったのが意外でした。
曲途中のブレイクタイムで中嶋イッキュウさんが「ギターソロ弾くから聴いて」と言ってヘロヘロナイスなラジオ体操の曲(あれは曲と形容するのだろうか)を弾いたり、その後にキダ・モティフォさんがラジオ体操第二の方の曲を弾いたり(中嶋イッキュウさんが弾いてすぐ、後を追うように弾いたのですが、中嶋イッキュウさんは第二の方と氣付かなかったようで「わかったとらんかったんかいな!」とキダ・モティフォさんに突っ込まれておりました)、キダ・モティフォさんがEminem氏の『Lose Youreself』を弾き出して中嶋イッキュウさんが束の間、Eminemさんとなったりしておりました。
『おちゃんせんすぅす』のどこのブレイクかわからなくなったので、キダ・モティフォさんが「じゃあ最後の頭からな」と言うも、メンバーの誰も『それがどこを指すか』が通じておらず、くちゃっと弛緩する瞬間などもあったりして、アットホーム?な空間だなぁ、などと思いました。
tricotのバンドマスターはキダ・モティフォさんなのかしら?
MC
MCでは、
「大阪に帰って来ましたー!」
「今年以内に100回は来たいと思います!(キダさん「三日に一回のペース?」)もう住んだ方がええな」
「昨日は個人的イベントの節分を行なったけど、この歳になったらあの豆を30いくつも食べるとなかなかきついものがある」
「実は毎週火曜の夜10時から2時間半ラジオやってるんですよ。知ってます?毎週聴いてる人!すっくな!じゃあ一回は聴いたことあるひと!はぁはぁはぁ。じゃあおもんなかったってことやな!ここにスタッフがいるんですが、現実を受け止めてください」
などの内容をお話しされておりました。
あふれる〜アクアリウム
本編最後の二曲ですね。
この二曲が始まる前に中嶋イッキュウさんが『今日もありがとうございました』的なことを話した時に、キダ・モティフォさんとヒロミ・ヒロヒロさんが同時に深いお辞儀をされていて『バンドのライブで演者が「ありがとう」と言いはするものの、お辞儀をする様』なんて観たことがなかったので、なかなか衝撃的でした。
「お辞儀!しかも同時に!しかもお辞儀が深い!最敬礼くらい深い!やだ!ファンになっちゃう!」などと思ったりしました。
『あふれる』もライブの予習で聴いており、好きだな、と思っていたので聴けて嬉しかったです。
この本編ラスト二曲はほとんどキダ・モティフォさんしか見ていなかったのですが、キダ・モティフォさんは『一つの観点から観た際の《ギタリスト然としている》』ように思いました。
端的に言うならば、かっこよかったです。
なんというか、出す音もプレイスタイルも手グセと思われるものも全く違いますが、キダ・モティフォさんを見ていたら、どうしてかTOTOのSteve Lukather氏を想起しました。
突然で恐縮ですが、わたしはギターを弾きます。
そんなわたしの技術は上記のお二人とは一切及びませんが、そんな一プレイヤーでも「弾けそう」と思える演奏をしている。
テクニックとポップさ、そのプレイの概要の認識しやすさ、などなど、それらがSteve Lukather氏と似ているなぁ、などと思いました。
あと、やっぱり樂しそうにギターを弾いているギタリストを観るのは好きですね( ¨̮ )
POOL
アンコール明けの一曲目です。
この曲は正真正銘の初めて、このライヴで初めて聴いたのですが、すごくかっこいいですね。
これまで幾度かは『知らない曲をライヴで初めて聴く』という経験をしてきましたが、初めて聴いた時点で『たのしい!』『かっこいい』と思ったのはこの時が初めてでした。
この曲はサビのドラムが「ドン ッカ、ドッ ッカ」というリズムで、トリニダード・トバゴ発祥と言われている『ソカ ビート』が起用されているのですが、このソカビートの妙もあって『たのしい』と思ったという側面もあると思います。
ソカビートの曲だとMINMIさんの『シャナナ☆』や、[Alexandros]さんの『ワタリドリ』なんかが有名ですね。
実際、このソカビートはジャマイカの音樂とも深い関わりのあるビートなので、レゲエの曲に多用されていますね。
サビの時のキダ・モティフォさんのノリ方もこれまででは見たことのないノリ方だったので、新鮮?びっくり?でした。
不出来
アルバム『不出来』のタイトルを冠した曲がラストソングでした。
そして、個人的にザ・ロックを感じる曲ですね。
わたしの未履修的な世代のロックです。
'90年代~'00年代中期的な。
最初に聴いた時はOasisの『Don't Look Back In Anger』と、Nirvanaの『Smells Like Teen Spilit』、椎名林檎さんの『幸福論(悦楽編)』を想起しました。
あまりに未履修。あまり下手なことは言えないので口を噤みます。
この『不出来』ですが、音源で聴いた時には正直あんまりパッとしないような印象でした。
ですが、実際に目の前で曲を演奏している様を観ていると、なんというか何とも言えない多幸感というか、幸せ的な感情を覺えました。
なんというか、自然とにっこりしてくるような。
曲のエンディングではキダ・モティフォさんがバッキングフレーズをループさせた上でソロを弾かれたり、エフェクターを使ってダブっぽいことをされており、それを観て「ギタリストってみんなダブっぽいことするんだ」と思ったりしました(ムックのミヤさんもエフェクターを用いてのタブプレイをされたりしますからね)。
あと、キダ・モティフォさんの『バッキングする時の拍の正確さ』と、『金太郎飴みたいな音の精確さ』を思い出すと、しみじみとお上手だったなぁ、と感じます。
メンバーが演奏を終えてステージから退場すると、『上出来 ~不出来 Remix~』が流れて終演。
感想
人生でお初のtricotさんだったわけですが、勝手に思っていた色々な印象と様々相違していて大変興味深かったです。
そのバンドの素性や、メンバーの性格を全く知らない内ってどうしてもおっかなびっくりになると思うのですが、中嶋イッキュウさんに対して『少し怖い?』という感情を持っていたけど、いざ、その人を見たら意外とお茶目だったり。
『結構お茶目な人かも』と思っていた(YouTubeの『キダ・モティフォの上出来フレーズ』の印象)キダ・モティフォさんが、『ちゃんと"ちょっと怖いギタリスト"(下級生から見た先輩、みたいな感覺)』だったりしましたし(ギタリストは結構シャイな方が多かったりするので、シャイ→あんまり自分からは喋らない→なんか怖い、という印象になるのかもしれないです。ギタリストで怖い人は基本的にあんまり居りません。でもギターの話を振るとなかなか饒舌になります)。
どうやらわたしには、『明言すると、明言したことほどしない性質』がどうしてだかあるのであんまり明言はしたくないのですがt、ricotさんのライヴにはまた行きたいし行くと思います。
そんなドキドキ💘初tricot体験✨でした。
そういえば、このライヴが2023年のライヴはじめになりましたね。幸先のいいスタート!
次は2/17の八十八ヶ所巡礼『仏滅ナイト!』です!
愉しみ!
ちなみに。
中嶋イッキュウさんがエミネム氏をアプローチしたからか、終演後BGMでEminemの『Godzilla』が流れて笑いました。
ありがとうございました( ¨̮ )