頭の中の洪水

言葉に頼っているうちなのでまだまだです。

A24が関わっている作品は基本的に良い【映画『X エックス』レビュー】

 

本日もご訪問ありがとうございます。

 

先日公開されました『X エックス』という映画を観ました。

happinet-phantom.com

毎度のごとく、今回もネタバレ全開でレビューをいたしますので、未鑑賞の方はお氣をつけくださいね( ¨̮ )

 

 

あらすじはめんどいんで割愛します

あらすじの説明とかは面倒ですし、わたしが言っても大して意味がないので、公式サイトや例によって茶一郎さんの動画を拝見いただけたらと思います。

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さて、この『X エックス』ですが、観た感想としては『ともすればカルト的作品になりそうだ』です。

 

完全にクラシックホラーを踏襲しておりますし、茶一郎さんの言葉をお借りするなら、まさに『新しい「古い映画体験」』です。

 

アメリカの片田舎」や、「乾燥した空氣感」、「湖」、「アメリカン・ドリームを素直に信じられた時代」などの『あのころ』を感じることができます。わたしは生まれていませんでしたけどね。

 

 

〈予告されている恐怖〉

ところで、以前『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』のレビューをした際にも書きましたが、やっぱりわたしは『びっくり系の力技で押し通していない、クールなクラシックホラー』が好きみたいです。

floodinhead.hatenablog.com

 

そして『「いきなりウワー!」みたいな演出』よりも『えっ、来てるじゃん。いやいや危ないってちょっと』みたいな〈予告されている恐怖〉?みたいな演出が好みみたいです。

『ザ・ハント』の線路のシーンとかね。まじビビり散らすほど怖いんだけど、だから好き。

floodinhead.hatenablog.com

 

よくよく考えたら『バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』も〈予告されている恐怖〉の演出が基本だったように思います。

 

 

本作での〈予告されている恐怖〉は、『マキシーンが湖で泳いで陸に戻る時に、後ろから近づいてくるワニ』や『ブリーフ一丁で農場を歩いている時の釘』、『老婆パールの頭が車に潰されるシーン』などです。

そらほぼ全裸で歩いてたら釘も踏み抜くっての。

 

そういえば主人公一行が車で撮影現場に向かう道中で、牛さんが撥ねられて絶命しているシーンがあります。

そこでマグロになった肉塊を主人公の乗る車がタイヤで潰す、というカットがあるのですが、それはパールの最期への伏線だったのですね。

〈予告されている恐怖〉のシーンはほかにもあったかも。あ、『シャイニング』か。

 

 

この〈予告されている恐怖〉は思えば、傑作『イット・フォローズ』でも主な演出として用いられておりました。

 

この『イット・フォローズ』は〈未知なものから追われる〉という恐怖を描いた作品でしたが、この『X エックス』と共通する部分があります。

それは『セックス』です。

 

 

『セックス』というクロスオーバー

『イット・フォローズ』は、主人公がセックスをしたことをきっかけに、得体の知れない存在から追われることとなるのですが、この『X エックス』もセックスが重要な要素として存在します。

 

主人公のマキシーンは映画の冒頭で「わたしはセックスシンボル」と言っておりましたし、一行が撮影していたのはポルノ映画でした。

そして撮影所(小屋)を貸した老夫婦はセックスに悩んでいました。

 

 

茶一郎さんの解説では『「老い」についてのホラー』と解説されておりましたが、それはもっともだと思います。

『老い』という存在は、生きていれば絶対に追いかけてくる〈得体の知れないもの〉ですからね。

つまりこの映画『X エックス』は、「それ(老い)に追われている」という〈意識なんてものを持ってしまった浅ましい人間〉の恒久的な恐怖を描いているホラーであるという解釈ができます。

 

また、その『老い』よって心機能も低下し、セックスとすると相手の命を奪ってしまいかねない。

女性としての存在を認めて欲しくて、夫のハワードにパールが迫るも、ハワードは"大事な相手を想うからこそ"その想いを無下にします。

ここが本当に悲しくて切なくて、なんともやりきれなかったです。

 

よくある『相手を異性として見れなくなった』からという理由ではなくて、『相手を想ってこその、無下』だということが本当に、本当に悲しかった。

 

主人公一行が団欒の場で歌を歌いますが、そのシーンでパールの部屋がクロスオーバーします。

泣きました。つらい。

 

それこそ最初は『相手を異性として見れなくなったから』だと思っていたので、「もうちょっと大事にしてもいいんじゃないかな(プンスカ)」とモヤモヤしていましたが、ロバートも共犯の計画的な犯行だと氣付いた時には「さ、サイコ野郎だ!やっぱり愛の力ってものは強いからこそ危険だ!!」と思いました。

 

「エックス」と「セックス」は言葉の母音が一緒、ということでも示唆的意図的か?とも思います。

 

 

また、今氣付いたのですが、この『X エックス』のメインヴィジュアルは『イット・フォローズ』をオマージュしているのですね。

双方とも『女性の脚がクロス』しています。

 

この『女性』というのも、非常に示唆的というか、重要な意味を持って来ます。

 

 

女性という『X』

この作品の主人公はマキシーンですが、実は老婆のパールも主人公であります。

この主人公二人には共通点がありますね。

 

そうです。女性という要素です。

 

これはわたしの偏見による部分が大きいですが、女性は『老い』を恐れている人が多いように思います。

 

そんな女性の染色体は『X(正確にはXX,男性はXY)』です。

 

作品の主人公が二人とも女性であり、その女性は染色体が『XX』である。

 

そんな主人公の二人が出てくる作品のタイトルが『X エックス』というのは、示唆というか、意図を感じずにはいられません。

 

あ、もう一つ共通点がありましたね( ¨̮ )

 

 

三つのクロスオーバー

ここまで長々と書いてまいりましたが、『老い』と『セックス』、そして茶一郎さんのレビューされた『映画』という三つのクロスオーバーがあります。

 

「XXX」ということですが、これは『三つのX(Three X)』ということで『セックス、またポルノ』を表すスラングだそうです。

『XXXでセックスを表現』というのはD'ERLANGERさんから知ったので、スラングに正当性があるのかどうかという所は曖昧です。

www.youtube.com

いや、まずスラングに正当性とかあるのか?

 

じぶんで主張しておきながら、『三つのクロスオーバーが作品に含まれているから、この作品はセックスについて描いている!』というのは少し自信がなくなってきた部分はありますが、まぁそこのぐらつきもあってしかるべきと思うので、このまま残します( ¨̮ )

 

 

A24が関わっている作品は基本的に良い

そういえば地下室でキリストみたいな吊られ方をしている男性を見たロレインの絶叫は非常に耳心地の良い『ホラー映画の絶叫』でしたね( `◟ 、)

 

 

いや、しかし、このA24という会社が関わっている作品は大抵がいいですね。

実質二割くらいしか観ていないので、にわかもにわかですけどね( ¨̮ )

 

エクスマキナ』と『ムーンライト』、『ヘレディタリー:継承』、『ミッドサマー』、そして本作だけなので、二割も観ていない可能性すらある…( ¨̮ )

 

 

…( ¨̮ )

 

 

 

さて、公式サイトでは『ヘレディタリー:継承』の時のように完全解説が掲載されておりますので、それを読んでわたしの読みが当たっているのかを見てみますね( ¨̮ )

 

 

ありがとうございました( ¨̮ )v

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本作はA24初のシリーズ物。

一作目を現代(実際は現代じゃねえけども)、二作目を過去の話なのならば、三作目(があったとして)は未来か?

そんな『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的構成にするのか??

 

でも『ハッピー・デス・デイ』の時みたいに「一作目は最高!でも二作目は退屈」なんてこともありえるので、過度な期待は禁物ですね。

蓋が開かないとわからない部分ですので、氣長に待ちましょうね( ¨̮ )